2013北海道マラソン
Tips for Runner

第1回
記録向上を目指して!

レース後半の疲労を防ぐには?

立命館大学 スポーツ健康科学部

後藤一成准教授(スポーツ科学コース)

Q1:レース後半になると、疲れてしまって足が思うように動きません。何か予防方法などはありますか?

 マラソンレース中には、筋肉内に貯蔵した炭水化物(グリコーゲン)、血液中のブドウ糖や脂肪などがエネルギー源として利用されます。このうち、筋肉内のグリコーゲン量には限りがあり、筋グリコーゲン量の枯渇はレース後半に一気にペースダウンする原因として考えられます。これを回避する方法として、トレーニングによって筋グリコーゲン量の貯蔵量を増やしておく、レース前数日間に炭水化物を豊富に含んだ食事を摂取する、レース中にスポーツドリンクなどで糖質を補給するなどが知られています。

Q2:いつもレース前半で体力を消費してしまうことが多いのですが、理想的な体力配分などはありますか?(前半30%、中盤20%、後半50%くらいの割合で体力を使う、など)

 マラソンランナーの中でも前半型、後半型の選手などそれぞれ特徴がありますので、一概に理想的なペース配分というものはありません。ただし、2時間半を超える長時間の運動になりますので、前半から中盤は意図的にペースを抑えるという戦略が多くの市民ランナーの間では一般に用いられているようです。

Q3:レース前にしておいた方がいいおすすめの準備運動などはありますか?

 まずは、脚筋群を中心に念入りに静止した状態でのストレッチ(スタティックストレッチ)を行い、徐々に動きを伴ったストレッチ(ダイナミックストレッチ)へと移行します。その後、コース周辺でジョギングを行い、筋肉への血流量を十分に高めることが重要です。

Q4:記録(タイム)をのばすために気を付けた方が良いことはなにかありますか?

 まずは日頃の練習において、目標タイムから逆算したペース(1キロあたりのタイム)を維持して走ることが良いでしょう。また、時には、練習強度を増すために、レースペースより早いタイム設定で練習を行うことも有効です。最近ではラップタイムに加えて運動時の心拍数も計測できる機器(ハートレートモニター)が市販されていますので、これらを上手に活用することでトレーニングの効果を客観的に把握することが可能となります。

プロフィール

後藤一成(ごとうかずなり) 立命館大学スポーツ健康科学部准教授。

専門分野はトレーニング科学、運動生理学。

筑波大学大学院体育学研究科終了後、日本学術振興会特別研究員として筑波大学、東京大学、Bispebjerg Hospital(デンマーク)にて研究に取り組む。2008年4月より早稲田大学スポーツ科学学術院に勤務、現在に至る。